2008年1月2日水曜日

裁判長!ここは懲役4年でどうすか

著者名;北尾トロ 出版社;文藝春秋 出版年度;2006年
 裁判所の傍聴をエッセイ風につづった一種の体験型ノンフィクションの力作。霞ヶ関の東京地方裁判所の傍聴を通じて主に刑事裁判(一部離婚などの民事裁判も)をメインにかなりの「判例」が紹介される。かなりの大事件も混在しているのだが、「被告人の大半は自分の気持ちを裁判ではうまく表現できない」という指摘が重い。ある有名な刑事裁判の被告の「空虚な涙」と「弁明」を評しての著者のコメントなのだが、「よくできた被告」「よくねられた反省の弁」が必ずしも被告本人の心情とは無関係ということが指摘されている。もっともそうした形式的な反省ですら裁判で表現するつもりがない場合には情状酌量の余地なし、ということになるのだろうが…。

0 件のコメント: