2008年1月3日木曜日

新学問のすすめ

著者名;和田秀樹 出版社;中経出版 出版年度;2007年
 「人の平等を保障しない世の中」という前提にたって勉学の必要性を説く本。考えてみると少し前には勉学をすればそれなりに可能性が開ける…というのは当たり前の前提だったように思うが、そうした「前提」がもうないわけだな…。強制される勉学から自由に勉学する時代に変化したわけだが、そうした「自由」の世の中では、勉強しない自由も保障されているわけで…。となると、別に日本史や世界史の年号など暗記したり数学の公式を暗記するよりも世の中楽しいことは確かにたくさんある。が、なぜゆえに「勉学が必要か」「勉学は娯楽になりうるか」といった「大前提」を議論しなければならなくなったのだろう。ある意味豊かな時代の反映ともいえると思う。書籍を読まなくてもかまわない時代になったわけだし。

 でもなあ…。おそらく強制される勉学は非常につまらないものではあるがなるべく早くに「強制されること」にもなれておいたほうがいいように思う。「自由に…」なんでもできることって実は世の中にはそう多くはなく、そうした自由な場所というのにはたいてい「眼に見えないお約束」というものが存在する。そうした「目にみえないお約束」って結局勉学でしか蓄積できないものでもあるわけで。たとえば食事にしても一定の場所ではすべて給仕さんがすべてしてくれるわけだが、本当のディナーって会話の中身。一定の知識水準が保障されていないとそれだけで「目に見えないルール」違反ということも充分にありうるわけで、そうした「ルール」の存在は、一定の「学問」の上でしか蓄積できないってことはあるんだよなあ。「学問のすすめ」とは、この本の著者とは違う意味で、確かにどんな時代でも言えることだと思う。

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