2008年1月6日日曜日

TIME HACKS!

著者名;小山龍介 出版社;東洋経済新報社 出版年度;2006年
 「レバレッジ」シリーズとともに2007年に非常に売れた「ハック」シリーズ。なんでもかんでも「ハック」がついているとつい書店で手にとってしまう…という感じになっていたが、元祖はやはり東洋経済新報社のこのシリーズになるだろう。ベルグソンの時間とニュートンの時間など時間の「質感」も考慮したタイム・ハックス。「集中力を高めるための喫茶店リゾート」というハックにはなるほど、と思う。いや確かに無意識に喫茶店に「逃げ込む」ときは自分にもあるのだが、目標管理やスケジュール管理などに目的を限定して喫茶店を利用するという方法。かなり有効だと思う。集中力と一言にいってもいろいろ内面的な種類があるとは無意識に思っていたが、「今後は同時進行的なジャズ的集中力」とずばっと分類してくれるのはありがたい。無意識に自分が感じていてそれがフレームワークとして確立できていないときが一番焦る瞬間だが、こうして誰かが「本当はこういうことなのだよ」と明晰に分類してくれていると既存の「なんとなくやっていたこと」が本当は理にかなったある種のフレームワークにそったものが理解できる。経験や信用の蓄積といったものと時間の過ごし方の問題とがリンクしてくるのもありがたい。というのも「経験」「信用」というものがリターンとして非常に大きなものであるにもかかわらず市場原理というのはそれを貨幣に換算しようとして換算できないシステムになっているからだ。「ブランド」や「のれん」「伝統」はいずれも実際に換金化しないかぎり自己創設のれんとしてしか機能しないが、日本社会の本来のあり方は「経験」と「信用」から成立している。特にデジタル社会になればなるほどこの「信用」という無形資産は大事になってくるはずなのだが…。時間のハックスというよりも、本当にこの本が売れた理由は「わからなかったこと」「あいまいだった常識」をずばりずばりキーワードで読み解いてくれた点ではなかろうか。

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