2007年8月19日日曜日

Summer Sex  

著者・モデル;夏生ゆうな・荒木経惟発行年(西暦)1998年; 株式会社スコラ;価格3000-4000円
 いまからおよそ9年前の写真集。夏生ゆうなさんが当時何歳だったかは不明だが、もういいお年になられているはずだ。荒木経惟の写真集は女性が中心のように みえて実はそうでもない。飛行機の中からみた空、機内食事の写真、街角を日傘」をさして歩く写真といった何気ない生活感のある風景が連続する。一枚の写真 だけをとりだしてどうこうという性質の写真集ではなく、街や道路、川、コンクリートの落書きもまたメインのモデル以上に魅力を発する。そうした雑然とした 町並みの中で服を着た状態で挑戦的にカメラをみつめる夏生ゆうなの表情がすばらしい。脱ぐことだけが優先されるわけではない凡庸な写真家とは一線を「画する」カメラの動き方だ。徹底的に「顔」にこだわる部分ではモデルの表情の変化をただじっと撮影している。
 モデルというわりにはたいしたことのない幼児体型な のだが、表情は大人そのもの。おそらく「顔」「生活」「表情」そしてたまにヌード写真というのがアラーキーの写真集の構成なのだろう。今ではもうなかなか 古本屋さんでも入手しづらくなってきて荒木経惟の写真集だがブックオフに売るのも心苦しく、とはいえいつまでも抱えているわけにもいかないのでこの写真集 は印象的な場面心に秘めて「燃えるゴミ」の日に廃棄する予定。ウェブが発達してもおそらくこうした生活を捉えていく写真集へのニーズは絶えることはないだ ろう。ただしそれを手にとった読者もまた生活の中で生き延びていくために、いつかはまた荒木経惟の世界を忘れていかなければならない運命にある。

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