2007年8月19日日曜日

夜子

著者名;荒木経惟;発行年(西暦)1996;風雅書房
 1996年当時は新人女優とされた夜子。その後の人生の展開は不明だが、少なくともこの荒木経惟が撮影した写真の中では「謎」「希望」に満ちた不可思議な 笑みをうかべる。服をきているときのほうがエロティックで脱いでしまうとまたなんでもない裸体が写真にでてくるのは荒木経惟の写真の特質だろう。黒のワン ピースにお寺のそばをただじっと歩く後姿にこそ日本の美があるようにおもわれる。
 それにしてもこの写真集の値段が3500円。今ではなかなか市 場ベースにはのりにくい写真集だと思うが、当時はまさしくこうした日本の伝統文化の中に切り込んでいく荒木経惟の写真は一つの前衛だったのだと思う。今、 それから約10年。この写真集も「私自身」が捨てるときにきたように思う。美も伝統も写真もいつしかは違う形態へと移りいくものといえるだろうか。

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