2007年8月19日日曜日

ヒット商品を最初に買う人たち

著者名;森行生;発行年(西暦)2007;ソフトバンク新書;値段;600-800円
  マーケティングの「イノベータ理論」を応用してIPODなどの人気商品の秘密を探る。イノベータをひきつけるだけでは商品としてはヒットせず、いかにして その後のアーリーアダプタ、フォロワーと呼ばれる層を巻き込むかにポイントが置かれているという見事な分析。オタクではなく「自分が欲しいかどうか」「尊 厳の欲求を満たしてくれるかどうか」がポイントとなりそうだ。しかもイノベータは深い商品知識をもっているので品質として完成度が高いものではならない。 知識、好奇心、可処分所得、自己実現…商品の規格やベネフィット、エッセンスといったところにこだわりが必要ということがわかってくる。
 では書籍の大ヒット…となるとこれがかなり難しい。書籍の購買層はいずれも可処分所得は高く当然自己実現もめざしている。価格にもある程度反応する需要者だが、やはり内容にる程度エッセンシャルな部分があると同時に、「感動」あるいは「ベネフィット」を与えるコンテンツでなくてはならない。1000円を超える書 籍となると競合する映画の劇場鑑賞以上にベネフィットがなければならないわけだ。インターネットでの評判よりも新聞の書評よりも立ち読みなどによる「印 象」のほうが重要で、となると内容のどこにも手がぬけないのが書籍という商品ということになる。競合する別の世界の娯楽やあるいは知識でいえばセミナーな どに負けないコンテンツを整理した形で市場に提供していく…。デジタル機器以上に厳しいマーケティング戦略をねっていかないとおそらく失敗続きが予想される業界のような気がする。

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