2007年8月19日日曜日

弱者が強者になるために

 著者;野村克也 発行年1998年 出版社;ニッポン放送
今から10年前の1997年。Bクラスにずっと甘んじていたヤクルトスワローズが当時の日本一の覇者西武ライオンズを日本シリーズで破る。「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」という名文句を残す野村克也監督の1997年を振り返っての一種の野村ノート1997年度版。卓越した戦力を持っていたわけではない。しかし他のセリーグ球団を突き放しての優勝の理由と根拠をこの書籍で知ることができる。一種ビジネスにも通じる点がかなりあるので、それが自分にとっての名著になってしまったのかもしれない。勝負の鉄則にあげられている「徹底的に相手の弱点をつけ」というのは、たとえば資金的もしくは労働力が圧倒的に優位にたつライバル会社に対して「いかに勝つか」を考えるときの基本ともなる。またチームプレーをいかに重視するかで戦力が2倍にも3倍にもなるというのもこの書籍を読むとよくわかる。「個性よりも実践力を伸ばせ」という教訓がそれだ。勝手なワンマンプレーでは組織全体が死滅してしまう。まず組織全体のことを考えてそれから自分個人の記録を考えるというダブルスタンダードは、非常に納得がいく。「功は拙に若かず」(呉子)、「功の成るは、成るの日に非ず、蓋し必ず由って起こる所あり」(呉子)という中国の古典などからの引用も、10年前からの人生経験で「なるほど」とうなづくことが多い。スタンドプレーより地道なプレーの積み重ねのほうが蓄積として相対的に大きくなっていくという実例は結構みてきたような気がする。
 ちょっとつまづいたときにはこの本を開く。そんなときには「①方法論②努力の方向性③考え方のどれかが間違っている」といったような目先のスランプを打開していく方法論やアドバイスの宝庫を目にすることができる。

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