2007年8月19日日曜日

原典ユダの福音書

 日経ジオグラフィック社、2006年、2000円、西洋史関係。 
 グノーシス派の中に存在しているといわれた「ユダの福音書」。紀元2世紀後半にはこの「ユダの福音書」に言及したエイレナイオスの文章が残存していたが、 1978年ごろ、中部エジプトから発見された「ユダの福音書」。それを翻訳した「本文」とその解説を一冊にまとめた本。学者の詳細な解説があるので本文の 欠落部分もきにならないほど面白い。ナグ・ハマディ文書以上に歴史的価値があるとされるチャコス文書がいかにしてこのたび「復活」したのかも解説に記載。 2004年にはパリで「第8回国際コプト学研究協会会議」で発表された内容が1,800円で入手できる幸せ。ユダをまったく「通説」とは逆の形でとらえな おすイメージの豊饒さ…。形式的な「体系」がともすれば組織化された「ファシズム」にもなりがちなこの御時勢…。一つのコンセプトやイデオロギーにどまる 「キケン」を予告しているかのような「再発見」だ。

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