2012年6月24日日曜日

流通業界ハンドブック(東洋経済新報社)

著者:太枝一郎 松尾武幸 出版社:東洋経済新報社 発行年:2006年 本体価格:1600円
 必要にせまられて流通ビジネスや物流の書籍を固め読みしている。いわゆる古典といわれる書籍なども適宜参照しているが、激変の流通業界といわれても企業再編や業態の変換などミクロの部分では確かに激変だが、環境への対応や小口配送、消費者の利便性の確保など基本的な問題自体にはあまり大きな変更は生じていない。専門店についてもこの本ではセレクトショップに可能性を見出しているが、別にセレクトショップそのものが新しい業態というわけでもなく、「バリュー消費」(価値に対する消費)ということからも、新しい価値観やライフスタイルの提案がなされれば消費者は支出する。しかし、そうでなければ相当に価格破壊をしないとお金を出さない、という消費の二極化構造では一般小売商もセレクトショップも同じ構造問題上に水平に並んでいる。しかも時間が経過していてもそうした構造問題に解決をきっちり出しているのはセブンイレブンやユニクロ、ヤマト運輸といったいくつかの企業だけかもしれない。非常にぶあつい本で、専門的な内容もかなり含むが、応用がきく著述が少ない。ミクロな話でいくなら日経流通新聞がベストだし、学問的な基本構図をおうのであれば大学のテキストが最適だ。なんだかこの本の位置づけそのものが「流通業界」を象徴しているような気がする。

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