2012年6月7日木曜日

ナポレオン(新人物往来社)

著者:安達正勝 本城晴久 小井高志 森実与子 檜山良昭 出版社:新人物往来社 発行年:2011年 本体価格:1800円
 さまざまな著者がナポレオンの人生の断面をとらえて文章を寄稿。通り一遍の伝記よりもずっと面白い構成で、「ナポレオンについてよくしらない」という読者も途中でいったんナポレオンのたどった歴史的な事件をひとおり読み終わり、さらにそのあと、各著者の設定したテーマにそってナポレオンについて読む。どうしても戦争の話が多くなるが、巻末におおまかな地図と年表が掲載されている。ティルジット条約のティルジットが想像していた以上にロシア寄りだったとか、オスマン=トルコの領土がフランスや当時のオーストリアを凌駕しそうな勢いだったとか副次的な知識も頭に入る。このシリーズは本によっては、あまり対したことない絵画が掲載されていたりするが、この本はなかなかのもの。クロード・ルイ・シャトレやダヴィッドなどの絵画も楽しめる。スペイン侵攻時のゴヤの話(当時ゴヤはスペインにいた)などもあってもいいのかも…とは思ったが、なにせナポレオンのエピソードをひろっていくとかなりの大部になってしまう。コンパクトにここまで面白くまとめたのはなかなかの手腕では。

0 件のコメント: