2012年6月25日月曜日

業態の盛衰(千倉書房)

著者:田村正己 出版社:千倉書房 発行年:2008年 本体価格:2800円 評価:☆☆☆☆☆
 最近業務の関係で朝も夜も流通関係の本を読んで食傷気味だったが、この本は別格。市場環境の変化と流通の変化の概論に始まり、業態の盛衰にかかわるモデルが呈示される。その後、専門店、総合スーパー、百貨店、電子小売業、中傷小売商と個別に業態が検討されていく。この検討の過程で各種の統計資料や「専門店」という用語の「定義」などが検討され、それが読者の頭の中で共有されていくプロセスはなかなか楽しい。統計データの加工やそのプロセスも明示されているので読者の側でモデルを再現することもできる。けっして易しい内容ではないが、百貨店の経営統合についてもこれまで新聞などで報道されていたのとは違う側面をこの本で知ることができるだろう。「小売競争は空間競争である」といった何気ない、しかし鋭い文章があちこちに散りばめられており、興味のある業態から読み始めてもいいのではないかと思う。こういう本こそ図書館などではなく実際に書店で購入して線を引いたり書き込んだりといった作業を楽しむべきではないかと思う。ビジネスの現場にも応用可能な視点が多数。
 

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