2012年6月3日日曜日

仕事をしたつもり(星海社)

著者:海老原嗣生 出版社:星海社 発行年:2011年 本体価格:820円
  山のような資料はでるけど中身がない会議、スライドを読み上げるだけのプレゼンテーション、聞いたことをそのままメモするだけの記録…「仕事をしたつもり」になるのはアナログからデジタルに移動するにつれて、さらにその傾向が加速化している。大学の試験でも昔ならばまだ手書きで写したり、まとめたりといった作業はそれなりに知的生産になったが現在は試験対策ファイルがそのままコピーされてでまわっている模様。ほんの少しコピペして構成をかえれば新ノートはできあがるのだが…。とはいえ「それって無駄じゃない?」とはちょっと公式にはいいにくいのもまた事実。で、著者が提唱するのはこうした「つもり」作業はある程度こなさなければならない(確かにそれは事実)。疑って考えて資料を集めるといった本質的なことは小さな部分で試行錯誤して、「関心演目」(自己こそ最高の観客として技を磨く)しかない、ということになる。実際のところ本質的作業に純粋に取り組むと「なぜ資料を作成しないのだ」「稟議書をなぜまわさないのだ」と上層部から評判が悪くなり、実は会社からは疎外されていくというのが日本企業。そこで「半分だけつもり作業」「半分だけ真剣に考える」という折衷案が望ましいと著者はいう。まあ正直そうだろうなあ。理想論だけふりかざされても周囲は迷惑、現実路線ばかり走られてもそれも迷惑ということで実際は理想と現実をうまくミックスブレンドしていくことこそ現実の仕事の妙味といえようか。

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