2012年6月21日木曜日

ビブリア古書堂の事件手帳3(メディアワークス)

著者:三上延 出版社:メディアワークス 発行年:2012年 本体価格:550円
 よくあるミステリーで「いやーえらい複雑な犯罪の手口で…でもここまでして密室殺人にこだわる必然性はどこに?」という疑念をもつことは少なくない。が、この「ビブリア」シリーズ、題材は古本だが、「ここまでやる理由はなるほどある」とうなづくような「ミステリー」で、しかも注意深く文章を読んで推理を働かせれば、読者にも謎をとくてがかりがちゃんと明示されている。途中まで存在の影すら示されなかった「第三の男」が真犯人といったストーリーがない、というのは、あるべき推理小説のありかたではないか。この第3巻では、まあ、前文ですでに一定の答えは出せるのだが、ちゃんと巻末で予想の正誤を読者は確認できるし、第4巻への期待感も醸成してくれる。このシリーズ、まだまだ続きそうで、しかも結末は「納得の結末」となりそうな予感。この主人公の「美人で知性があふれていて、ちょっと人見知りで…」というキャラ設定もなかなか。第3巻では、本屋以外にこの主人公が立ち寄る意外な「お店」も初紹介される。

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