2012年6月17日日曜日

野村のメキキ(東邦出版)

著者:野村克也 出版社:東邦出版 発行年:2012年 本体価格:1143円
 巨人が大企業とすればヤクルトや楽天はやはり中小企業。これといった逸材が存在しない(あるいは当初存在しなかった)状況でヤリクリを通じて成果をあげていったのが野村監督の手腕である。人によっては「こういう上司はいや」ということもあるが、私は「正しい努力を重視」「無形の力を重視」というプロセス重視の采配は非常に好ましいのではないかと思う。むやみな根性論でひたすら走り込むよりも理にかなったトレーニングを積み重ねるというやり方は選手にとってもありがたいだろう。「プロとしていかに生き抜いていくか」という方法を教えてもらったのが野村監督の書籍であり、「まんべんなくやるよりも何か1つ秀でた部分も持つ」という教えは非常に今でも役に立っている。
 この本では昔のプロ野球ではなく現在のプロ野球について述べられたものだが、それぞれのチームの特性を勘案した批評にはやはり見るべきものが多い。ありもしない四番打者やエースをのぞむよりもまず現状を把握してその特性を最大限に活用する方法を考える。これは職種や企業の大小にかかわらず、すべての働く人にいることではあるまいか。

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