2012年6月27日水曜日

「処方せん」的読書術(角川書店)

著者:奥野宣之 出版社:角川書店 発行年:2012年 本体価格:724円
 ほかの人の「読書論」を読むのは楽しい。いろいろな「読み方」がありうるということと、どの人であっても共通する部分というのがある。だいたい読書のあとにはメモ書きなり感想なりフォローアップをしておいたほうがいい、というのは共通原則のようだが、他人と一緒に読む読書会などについては賛否両論。この本の著者は読書の感想なり感動なりはうちにひめておいたほうがいいという立場だが、そうした考え方もまた読者一人一人の向き不向きで取り入れたりとりいれなかったりすればよい。司馬遼太郎さんが原稿の推敲にダーマトグラフを使っていたというのをこの本で知る。いろいろな色で文章の挿入や指示をおこなっていたとのこと、完成に至るまでのプロセスを知ると同時に、読書を積み重ねていく上でも読者もダーマトグラフ(あるいはそれにるいしたツール)で読書経験を改変したり応用したりすることができるのではないかと思った。「本屋さん」の空間をやすらぎや知的好奇心の場所としてとらえるという著者の主張も好ましい。

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