2012年6月24日日曜日

ブルーローズ 上巻・下巻

著者:馳星周 出版社:中央公論新社 発行年:2006年 本体価格:1500円
 松昭教さんの上巻と下巻の装丁が非常に美しい。カバーの下の表紙は上巻が黒、下巻が赤となっているが、これもなかなか心憎い気配りだ。カバーのコートの手触りも絶妙で、こだわりにこだわった装丁という印象だ。で、ストーリーは…というと、内容自体は個人的にはそれほど面白くはなく、刑事警察と公安警察の争いといったまあよくありがちな話で、それに保守系の政治家がからんできてついでに警察庁長官の未来の有力候補もからんできて…というあたりで辛くなる。最近でも成田空港で警察庁のキャリアが空港の警官に暴言をはいて辞職に追い込まれているが、失言1つあるいは政治家の胸三寸でキャリアの地盤も大きくゆらぐ。お話としてはこんなものかな、と。
 縦書きの活字や余白も読みやすい。あとはもう、破滅の美学を追求するのはいいけれど、ストーリーが破綻寸前というのはいかんとも…

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