2012年6月6日水曜日

黄金の日本史(新潮社)

著者:加藤廣 出版社:新潮社 発行年:2012年 本体価格:720円
 歴史を「注目に値する物語」と位置づけ、「日本書紀」「古事記」「続日本紀」の時代から、21世紀の日本の外貨準備高に至るまで一種の通史として書き上げた新書。正直、読み始めるまでは「う~ん」という頭を斜めにしながらの読書だったが、途中から俄然面白くなる。
 文献や歴史的史実として古文書に書き記されていない部分は著者の推察になるが、その推察が面白い。遣唐使の留学費用からみる最澄と空海の違いや、源氏と平家の違いなど、おそらく確かにそうだろう、という著者の説の展開が興味深い。江戸時代に大量に存在していたはずの小判の行方についてもおそらく著者の推察どおりの流れで海外に流出したのだろう。
 江戸時代の通貨政策についても、金本位制の説明にしても確かに大学や高校の歴史のテキストよりも頭によく入る。巻末の参考文献も丁寧に掲載されており、「意外な」といっては失礼かもしれないが、最近の新書のなかではかなり面白い本である。

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