2012年6月24日日曜日

ざっくりわかるファイナンス(光文社)

著者:石野雄一 出版社:光文社 発行年:2007年 本体価格:720円
 基本的なファイナンスの用語をそれこそざっくり説明してくれている。新書にはめずらしく索引もついていのはポイントが高い。リスクフリーレートという言葉はもともとはファイナンスの用語だったが今では会計基準にも出てくるのでこういうファイナンスの勉強は経済学のみならず商学部の学生にも必須になるのだろう。株主資本コストの算定方法のうちCAPMという手法があるが、この本ではじめてその「読み方」を知った。リスクプレミアムはリスクフリーレートにβ変数とマーケットリスクプレミアムを乗じて算定するが、なんとこのβ変数の説明までしてくれている。市場全体の変動よりも動きが大きい株式であればβは1よりも大きく、変動が小さければβは1よりも小さくなる。東日本大震災が発生するまでは東京電力の株式などはおそらくβはかなり1より小さかったはずだが…。98ページでは加重平均の概念をマティーニの作成方法になぞらえて説明してくれている。こういう資本コストの概念、あまり学校などでは教えてくれないが、実務では忘れてはいけない大事な要素で、ともすれば負債コストばかり念頭におくことがあるが、実際には株主へのコストも考慮しておかないと、資金調達の方法を間違えてしまうことにもなる。「原価計算」の意思決定会計にも使える説明がいくつかあるので、ところどころ索引から部分的にたぐってこの本を利用するという方法もありうるだろう。

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