2012年6月24日日曜日

ヒット商品開発(同文舘)

著者:梅澤伸嘉 出版社:同文舘 発行年:2007年 本体価格:2500円
 この著者の消費者ニーズを新商品につなげるという本を以前に読んで感心した記憶がある。マーケティング関係の本であればコトラーの理論、アンゾフの理論、ポーターの理論をいくつか組み合わせて、さらに流通論と物流論を少し、マーチャンダイジングを少し混ぜればそこそこの入門書になってしまう。ただ著者はそうした本造りをまったくせず、既存の理論はほとんど援用しないで、自らの経験をもとにした独自の理論を展開して構成している。この完全なまでの差別化戦略がこの本の希少性を高めているように思う。
 成功商品とそれ以外の商品との区別や成功商品を生み出すまでのプロセス、特に男性用化粧品「トニックシャンプー」を生み出すまでの商品開発戦略が興味深い。マーケターは多々いれど、実体験でここまでやりぬいてさらに理論にまとめるまでいく人はそう多くはないだろう。
 非常に参考になる内容だが、逆に言うと伝統的なマーケティング理論や商品開発理論を勉強するには不向き。試行錯誤の結果をこの1冊で「体験」できるのだから2500円は安い内容だろう。

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