2011年10月2日日曜日

ブラッド・ブラザー(文藝春秋)

著者:ジャック・カーリー 出版社:文藝春秋 発行年:2011年 本体価格:790円
アラバマ州モビール市警からニューヨーク市警へ出向き、連続殺人犯の捜査にあたるカーソン・ライダー刑事。そして実の兄は過去に連続殺人の容疑でアラバマ行動矯正施設に収監され、そこから脱獄したばかりだった…。「羊たちの沈黙」「ハンニバル」などの影響はモロに受けつつ、ディキシーランドジャズのような騒々しさでエンディングまで進む。ハンニバル・レクター博士が「静」とすると、この小説のニューヨーク市警は「動」。物語の「王」は刑事で、「王女」はニューヨーク市警警部補。それぞれが鬱屈した日常生活もしくは捜査からラストでは解放され、新しい人生を歩み始める。連続殺人の容疑の実の「兄」もだ。そこにいたるまでの伏線はやや苦しい部分を残しつつも、まあ「予想外」の連続。北部と南部の対照も面白い。
翻訳がやや読みづらいのが難点だが、読み始めるとあっという間にラストまでいく。大統領候補となる女性議員の登場がしっくりこないのだが、これはまあストーリーに無理やりはめこんだ印象も。

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