2011年10月3日月曜日

マネーボール(武田ランダムハウス)

著者:マイケル・ルイス 出版社:武田ランダムハウス 発行年:2011年(文庫本) 本体価格:760円(文庫本)
文庫本の表紙には実際にはブラッド・ピットが微笑んでいる。今秋なんと映画化される本だが、内容は野球を取り扱っているものの、実際にはMBAのテキストもしくは副読本として利用されている。野球の「勝率」と「長打率」「出塁率」との相関関係を見抜き、独自の選手をひっこぬいたアスレチックス。「カン」やそれまでの「慣習」を無視し、独自のデータで選手を「安く」かき集める。従来の固定観念を無視することで、いわば「市場のサヤをぬく」ことができる。市場は不合理だし、感情に左右される。そこにつけいるスキがあるというわけだ。ヒーローよりも埋もれた「変わり者」を集めたいというチーム作りは時には非情な引退勧告すらおこなうこともある。そしてデータを無視した「感動」の「偶然」も。
386ページにはデータではない文章がはさまれている。ぜひ勝利したいと意欲をもつ選手は、勝つ意欲が薄い選手よりも可能性があるであろう…という一節だ。ただしその意欲が空回りすることだってある…という注釈つきだが。「絶対数値」と「相関関係」そして「標準偏差」を重視して、逆に「不可思議で独自のチーム」になったアスレチックス。数学もしくは数字とは不思議なものだ。

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