2011年10月23日日曜日

骸の爪(幻冬舎)

著者:道尾秀介 出版社:幻冬舎 発行年:2009年 本体価格:724円
オカルトシリーズかと思いきや、本作は怪奇現象のようにみえて実はそうでないエピソード。実は科学的ミステリ第2弾。また仏像に関するコネタがちりばめられており、ストーリーに飽きてきたころに適切に仏像や仏教に関するエピソードが展開される。ミステリ関係の本って実は特殊な業界やジャンルのエピソードで興味関心を補強してくれる本が多いが、この本も「ああ、単調だな」というころあいに、小さなエピソードで読むエネルギーを補強してくれる。で、面白さっていうことでいうと、個人的にはつまらなかった。「物語」はどっちかっていうと火曜サスペンスっぽい展開で、閉ざされた空間であるはずの「場所」のイメージがいまひとつ伝わってこない。もう少し自然描写を上手くしてほしかったな、という気分。これ、文字で滋賀県の山間の…といっても、イメージがわきにくいからだと思う。せっかく仏像や寺社を扱っているのだし、ミステリも文芸作品の一つなんだからアイデア以外に読ませる文章がもう少しあってもいい。前半の会話と後半の物語の展開の明暗のコントラストがまた不自然なような気もするし。 シリーズとしては第1作「背の眼」の6掛け程度といった感じ。

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