2011年10月20日木曜日

背の眼 上巻・下巻(幻冬舎)

著者:道尾 秀介 出版社:幻冬舎 発行年:2007年 本体価格:上巻571円 下巻648円
2011年10月中旬現在、幻冬舎文庫は文庫本にてミステリーフェアを展開。秋のこの時期に文庫本でミステリーフェアというのがなかなか心憎い。赤字に白抜きの文字でミステリーフェアとあおられると、固い本を読んでいるハザマで妙に購買意欲がそそられる。IFRSの会計の書籍は、ひとまず横においといて、福島県の某所で発生した「怪奇現象」と自殺者の連続発生を調査しに、作家・道尾と霊現象探求者真備、その助手凛の3人組が調査に入る…。読み終わってみると、一見怪奇現象を扱っているようで、きわめてまっとうなミステリーの佳作。読後感はそれほど悪くはない。怪奇現象も最後にはちゃんと「科学的」説明がついているので、私のような「霊懐疑派」も読み通すことができるような構図になっている。また日本のドロドロした山岳信仰、天狗、「道」の漢字の意味、「東海道五十三次」、金比羅参りといった関連知識の解説も充実。西洋のロジックがんがんのミステリーも面白いけど、日本のドロドロ民俗学がからまるドロドロ連続殺人も非常に面白いのを再発見。

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