2011年10月22日土曜日

「野村学校」の男たち(徳間書店)

著者:永谷脩 出版社:徳間書店 発行年:2009年 本体価格:1300円
評価:☆☆☆☆☆
強い選手を集めて優勝することはできても、安くていまひとつクセのある選手ばかりを集めて優勝するのは至難の業だ。それをかなりの確率でなしとげたのが野村監督。この本では「野村学校」とよばれる他球団を解雇された選手を再生させた野村監督の代表的な選手37人をとりあげている。正直厳しい世界だが、問題発見(現状把握)と目標のハザマをいかにして37人が埋めていったのかが非常によくわかる。もちろん活字になるインタビューなのですべてが真実というわけでもないだろうが、現状と目標の距離、そして地力のかけているという自覚のある人間にとっては、ヒントになる事柄がやまもりだ。冒頭は楽天の山崎選手で今年楽天との契約がきれた。楽天はコーチを準備したらしいが、山崎選手は続行希望という。野球をやりたいならば文句をいうな、という一言が重い。また共通して準備とプロセスを重視するという野球がそれぞれの選手にとって大きなヒントになっているのも興味深い。その逆に「選手をほめない」という批判も掲載されている。野村監督の著書だけでは自分の方法に肯定的なことしかもちろん執筆されないが、37人の選手のインタビューでは「野村監督の改善点」も著述される。その「欠点」をさらにとりこんで自分のやり方に応用していけば、野村監督以上の「再生工場」を自分のジャンルで確立することだってできなくはない。そんなヒントをこの本から感じ取ることができる。

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