2011年10月23日日曜日

街場の現代思想(文藝春秋)

著者:内田樹 出版社:文藝春秋 発行年:2008年 本体価格:571円
評価:☆☆☆☆☆☆
ある意味では非常にわかりやすい内田先生の本。文化資本による階層社会(これ、実際にはもう到来している)、「勝ち負け論」、社内改革論、転職論など。特に117ページが秀逸で。「決断をせまられた時点で」「選択肢はしぼられている」という、まあ、それはそうなんだけど、当事者にとってはいわれたくないよね的な結論がばっさり書かれている。困難な状況に追い込まれないようにあらかじめ手を打っておくことは普通の人間でもできるが、困難な状況下で最善の選択肢をひきあてる能力は人間には必ずしも備わっていないというのも、まあ…それをいっちゃあ…的な真実で。「バツイチ」が再婚を前に苦悩するのと一緒…てのもそれをいっちゃあ、なのだが、まあ自分自身を知る…っていう目の前の課題ほど先送りにしたがる人間の習性は、常に人間は忘れるってのと同じことの「裏返し」なのかも。そうした意味では意図的に、あるいは無意識に目の前の「課題」を見ないですむようにしよう…としてきた私なんかにとっては「耳の痛い」話の連続。だからこそ、まあこの本オススメ。

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