2011年9月30日金曜日

オレたち花のバブル組(文藝春秋)

著者:池井戸潤 出版社:文藝春秋 発行年:2010年(文庫版) 本体価格:657円(文庫版)
タイトルはなんだか「マハラジャ」しているのだが、ストーリーの展開は「失われた10年」(いや20年?)そのもの。前作で同一資本の大企業相手専門の本店第二営業部次長におさまった半沢だが、経営危機に陥った伊勢島ホテルを担当することになる。金融庁の検査も控え、トラブルを避けたいところだったが、前任の京橋支店をめぐりきなくさい動きが…。通常のビジネスパーソンではとりえないような迫真の「反骨精神」を主人公は粘り腰でみせていく。「失われた10年」を取り戻そうかというその動きは時には「倫理」「法律の規定」といったものも侵食しかねないような…。同期がすでに片道出向を歩み始めた世代で、同期入社がスクラムを組んで大銀行を舞台にして立ち回る。ま、一歩間違えば「学閥」にもなりかねないのだがそこはまあ置いといて。企業を生き残らせるためにあれこれ手を尽くす伊勢島ホテルのオーナーの決断がいかにも経営者の生き様らしい。脇役ではあるものの、本来社会的にあるべき経営者とは、ケースバイケースで状況に応じて柔軟かつ豪腕な意思決定をくだせる人間ではないかと感じる。

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