2011年9月26日月曜日

その数学が戦略を決める(文藝春秋)

著者:イアン・エアーズ 出版社:文藝春秋 発行年:2007年(単行本) 本体価格:1714円(単行本)
昨年には文庫本化されている。文芸モノの老舗の出版社だが、海外ミステリーの邦訳やこの本をはじめとした理数系の書籍の邦訳も近年水準がアップ。だいたい文芸春秋が刊行した海外ミステリや科学の書籍であればはずれは少ない。この本も、正規分布と無作為抽出を日本の柱にして、政府の公共支出や野球、電子商取引といったテーマとその根底にひそむ「人種差別」や個人情報保護などの問題を取り扱う。正規分布などはエクセルですぐに計算できるが、標準偏差をいかに実践的に日常生活で使うかといったテーマで語られたのはこの本が初めてのような気がする。これまで統計学と日常生活の「平均」「確率」とはそれぞれ別個に議論されてきたが、ちょうど日常生活から正規分布や無作為抽出の世界へ「ジャンプ」するのに、この本の著述内容は手ごろな難易度。文庫本化でさらに読者が増えそうな予感。

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