2011年9月17日土曜日

殺人鬼フジコの衝動(徳間書店)

著者:真梨幸子 出版社:徳間書店 発行年:2011年(文庫版) 本体価格:648円
非常に後味の悪い話ばかりが続くが、妙にリアリティがある…。悪夢を見ているような展開が続き、最後に「ドンデン」がくる…。ミステリーではあるのだが、「ここまでやるか」の連続。子供のころを思い出すと確かに純粋無垢な世界ばかりでもなかったなあ…と妙なところに納得したり。 残虐な話なのだが、こういう「話」が実は「秩序」そのものを維持しているという考え方もある。フロイトばりだが、夢が代償行為になる…といった構図だが、こういう残虐物語も一種「代償行為」になっている面あるような。この本の主人公のような人生はまっぴらだが、小説として読む分には一気に面白く読める…というのは、まあ、一種の代償行為なのだろうなあ…。昭和の妙なレトロで、しかし粘着的な時代風土と平成のからっとしているようで殺伐としたドライさとが1つの書籍の中に同居。作者は40代だが、なるほど両方の時代を生き抜いてきたからこそ、こういう舞台回しができるのかもしれない。

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