2011年9月5日月曜日

株価暴落(文藝春秋)

著者:池井戸潤 出版社:文藝春秋 発行年:2007年 本体価格:552円
購入したのは2011年7月30日第7刷。やはり直木賞受賞で需要が増しているのだろうか。一種の経済ミステリーといえなくもないが、突如「爆弾テロ」が発生した大手スーパーマーケットの株価が暴落。当初真犯人と思われた青年は逃走劇を繰り広げるが…。という「逃亡者」的展開。実際には株価を暴落させなければならない必然性が実際にあったわけだが、う~ん。警察庁の管轄ではなくても証券取引委員会のほうで真犯人は早々と逮捕されてもおかしくないかも…。大規模小売店法の規制をくぐりぬけて店舗展開する手法や集中仕入れによる品質の低下といった流通論ではなかなか言及されない論点が著述されるあたりが面白い。ミステリーとしての仕掛けは分かる人にはすぐわかるような「動機」か。銀行内部の審査部と企画部の対立は面白いが、実際には審査部と企画部で企画部が「いけいけどんどん」という時代は、この小説ではちょっと通り過ぎている。短い小説でいろいろ盛り込みすぎて、読者がついていけない展開かな、と思ったり。ただ文芸春秋の池井戸潤の文庫本の装丁は非常に綺麗。殺伐とした内容のものも、ないではないが、4色の挿絵が心をなごませてくれる。

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