2011年9月20日火曜日

ファントム・ピークス(角川書店)

著者:北林一光 出版社:角川書店 発行年:2010年 本体価格:629円
文庫が発行されたのが2010年だが、2011年9月現在、各書店に平積みになっているのがこの本。著者は映像ディレクターから長野にUターンして執筆作業にはいった北林一光。ただし2006年に癌で45歳でお亡くなりになっている。解説は映画監督の黒沢清氏という豪華さ。物語は自然豊かな安曇野の山奥で始まる。あまりに静かに始まるが、次第に物語は血なまぐさくなり、そして最後は阿鼻叫喚の地獄絵図に。物語の盛り上げ方はどことなく「ジェラシック・パーク」に似ているものも感じる。主人公は「それ」に愛する妻を殺害されてその理由と事情を知りたいがまま、故郷でもない安曇野にとどまりつづける。もうこの世にはいない妻の面影をおいつつ長野の山奥で工事作業にいそしむ主人公のわびしさとラストに橋の上で「それ」と対決する落差がすさまじい。

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