2011年9月12日月曜日

IFRS財務諸表の読み方(中央経済社)

著者:石田正 村藤功 高原峰愛 出版社:中央経済社 発行年:2011年 本体価格:3600円
A5判で334ページ。IFRSの解説書は、ブームをやや過ぎても出版されているが、そうした本のなかでも特に分かりやすいと思ったのがこの本。やや値段は高めに設定されているが、中途半端な新聞記事や「面白本」よりも、実務家の立場からIFRSの個々の会計基準や著者の今後の予測などが有用。妙に固い著述だと、かえって読み手が窮屈になるが、適度に主観的な意見が逆にリラックスして読める。バイエル社や日本の製薬会社など実際の財務諸表の例示も適度に挿入しているのが親切だ。ある程度複式簿記と会計理論に通じていないと読み手には辛いかもしれないが、日商簿記1級の手前程度で十分に理解可能。各種検定試験にも役立つ部分があるだろう。ただ惜しむらくはこの内容は最新の動向まで取り込んでいるだけに改訂版が出ないとすると、2012年早々には陳腐化してしまう可能性も。最近は書店で会計学の新刊がでても改訂版がでないため、事実上の廃刊となってしまう単行本が多すぎるのが残念。ちょっと手をいれれば、さらに読者がついてくる本もそれなりにあると思うが…。

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