2012年5月4日金曜日

帝国のシルクロード(朝日新聞出版)

著者:山内昌之 出版社:朝日新聞出版 発行年:2008年 本体価格:740円
 これまで山内昌之教授があちこちで執筆されてきたエッセイを、シルクロードの東から西にそう形で配列・再構成したもの。かなりの論文やエッセイを読み込んで再編集する必要があり、編集の苦労がしのばれる。切子細工を題材にした「薩摩とエジプト」、篤姫とモールス信号など素人には及びもつかない組み合わせが展開される。
 東洋史が専門とされるが、歴史を通して今をみるというスタンスで中央アジアにも目が向けられる。グルジアやアルメニアといったキリスト教国家ではあるがロシア正教とは折り合いが悪い国々(しかしアルメニアは現在も石油関連そのほかで軍事上も大きな意味をもつ)など西ヨーロッパ中心の論理で物事をみがちな自分にとっても考えさせられる内容が多い。

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