2012年5月20日日曜日

日銀を知れば経済がわかる(平凡社)

著者:池上彰 出版社:平凡社 発行年:2009年 本体価格:740円
もともとは日本銀行の広報詩「にちぎん」に連載されていた「池上彰のやさしい金融経済教室」を新書化したもの。おそらく連載中にも校閲などは日本銀行が担当していたと推定されるが、独特のわかりやすい文体に加えて正確さも随一。アメリカ連邦準備銀行の歴史や日本銀行設立に至る経緯などもわかりやすい。全部で12章の構成だが、11章のFRBについての説明と第12章の金融グローバル化の日本銀行はちょっと付け足し気味の印象もあるが、この新書だけで「金融論」などのテキストを読む下地ができあがるくらいに内容が濃い。
政府預金は日本銀行に預け入れられるが、これまでこの本を読むまでは全部無利息だとおもっていた。が例外として国内指定預金という財務大臣が運用方針を定めた政府預金には利息がつくとのこと(52ページ)、年金の支払いがいかにして日本銀行に通知され、国庫に納付されるのかといった仕組みも理解できる。IS‐LM曲線でいきなり金融の勉強を始めるよりもまずこの新書の内容をじっくり理解して、それからマクロ経済なり金融論なりの勉強を開始したほうが絶対に効率的ではないかと思う。

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