2012年5月9日水曜日

壊れたおねえさんは好きですか?(文藝春秋)

著者:中村うさぎ 出版社:文藝春秋 発行年:2007年 本体価格:467円
「壊れたおねえさんはすきですか?」と聞かれたら、「好きとか嫌いとか言う前に距離をとっておきたい…」という…。
凡庸であるがゆえに人並みはずれて「浪費癖」があり、さらには整形手術にはまってしまう著者は素直にすごいと思う。しかも「書くために」何かを実践するというような悲惨な感じはかけらもなく、「お金は使いたいから使う」「その結果を書く」と物事の順序がプロのライターなのに真逆というのがまたすごい。ウェブで著者の名前を検索してみたら整形手術を録画している動画まででてきた…。で、人並みはずれて「壊れ」ている著者は、当然のことながら人並みの視点とは違う角度で物事を考察してくれる。チマチマ貯金してそこそこ長期的な視野で生きている私にはまるで見当がつかないほど「オヤジとは堕落した父性である」といったものすごい言葉がさらっとでてくる。これぞまさしく読書の醍醐味を最大限に味わえるというわけだ。
 この本では連合赤軍事件について取り上げ、「永田洋子の絶望」について分析してくれている。平成の「壊れ」た女性と高度経済成長期の新左翼の女性とが奇妙にシンクロしてくる絶妙な文章がでてくるので、それは必読だろう。

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