2012年8月11日土曜日

ビジネスに役立つ「商売の日本史」講義(PHP研究所)

著者:藤野英人 出版社:PHP研究所 発行年:2011年 本体価格:820円
 投資信託会社社長による日本の歴史と「商売」の論考。海幸彦と山幸彦の日本の物語を軸にして、秩序と規律を重視する山的な時代と冒険主義的な海的な時代とで歴史を読み解く。ちなみに現在の日本は秩序重視の山的な時代で、遣隋使や遣唐使の時代は海的、江戸時代は山的ということになる。仕事の参考書籍として読み始めたら意外に面白く全部読んでしまった。
 こうしてみると日宋貿易を一手にになっていた平清盛などは中国貨幣の流通を増減させる今でいう中央銀行的な権力を握っていたといった別の日本の見方ができるというのが興味深い。西日本は海的な要素が強く、東日本は山的な要素が強いという著者の分析もあり、山的な今の時代に東京中心になっていくのはやむを得ない面がある程度はあるのかもしれない。室町時代に金融業が発達したというのも、室町幕府が課税や貨幣を重視していたこととリンクして説明されており、バラバラに商業の歴史をおっていくよりも「流れ」で理解できるようになっているのが非常に便利。

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