2012年8月12日日曜日

伊藤真の法学入門(日本評論社)

著者:伊藤真 出版社:日本評論社 発行年:2010年 本体価格:1500円
 200ページ弱の書籍で価格がやや割高に感じられる可能性はあるが、非常にわかりやすいうえ、法律の解釈や適用などにもバランスを重視している。教養科目としての法学入門というよりは、新司法試験制度をやはり重視して編集されていると思われるが、別に司法試験を受験しない大学生やビジネスパーソンが手にしてもおかしくない内容。もともと現在の日本国憲法の改正には反対のお立場であり、日本の法制度の整備などをふりかえる部分でもそうした色合いが非常に強い。が、だからといって特定の見方にかたよるわけでなく(というよりも公務員であれ受験生であれ日本国民は憲法にもとづく行政社会に生きているわけで)こうした編集方針もあり、だと思う。いきなり大陸法や英米法の説明にはいる前にボアソナードや江藤新平などの著述をもってくるあたりがやはり単なる受験テクニックの本でない証拠ではないかと思う。リーガルリサーチや法律的な文章の書き方などの章立ても充実している。索引がある程度整備されていれば、完璧ではないかと思うのだが。

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