2012年8月11日土曜日

三月のライオン 第1巻~第7巻(白泉社)

著者:羽海野チカ 出版社:白泉社 発行年:2008年~ 本体価格:467円
 「擬似家族」しかもたないプロの棋士桐山零17歳とあかり・ひなた・モモの三姉妹の交流。ほとんどすべてのものを失い、大きな川沿いの下町の一室で将棋と向き合う少年が、次第に社会と交流を深めて失っていたものを回復してさらに新しいエネルギーを獲得していくプロセスを描く。「週刊ダイヤモンド」などでもオススメ書籍になっていた漫画で、主人公は17歳という設定だがそれ以上の年代の社会人が読んでも泣けてくる内容。粗筋のほとんどは、最初に謎が呈示されてそれを説明していく手法なので1巻から読み進めるしかないのだが、さまざまな登場人物が欠落感や喪失感と戦いながら、前へ進んでいこうとする姿が痛ましく、また感動的だ。純粋すぎる世界のなかで、鋭い一手一手が交錯し、世代を超えた感動作になっている。将棋がわからなくてもぜんぜんOKな名作。

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