著者:日垣隆 出版社:文藝春秋 発行年:2003年 本体価格:686円
週刊「エコノミスト」の巻頭言のころから注目していた著者だが、最近さらに日垣隆さんの書いたものに興味深々となっている。この「偽善系」では、少年法や裁判所の在り方、種々の「迷著」、ある経済評論家に対する批判、そして長野オリンピックなどを取り扱っているのだが、ある意味ではバラバラなテーマの素材をうまく配列して面白い本にしたな、という点が興味深い。
もともと各種メディアに時期も含めて別々に書かれた原稿なので、1つの書籍にするのはけっこう難しい。ま、「偽善系」という一種曖昧なくくりで本になっているが、一番苦心したのは題材の配列だろう。この文庫本ではさらに2冊の単行本を1冊にしているので、単純に構成したのでは、読者には記憶に残らない雑文集にもなりかねない。それを1つの統一的な視点でまとめると「こうなる」という編集の技がさえている。
経済評論家の取材方法や論理構成を批判したあとに長野オリンピックの批判が展開されているのだが、これなぞ「他山の石」をもって自分の取材と論理構成で完全な批判とする、というグーの音もでない構成。辛口批判だけなら確かに取材力がなくてもできなくはないが、では肝心の批判する自分の取材ならばこういう形になる、という究極の展開・構成。で、おそらく「偽善系」という批判は題材として扱った各種の人物や団体、制度と同様に著者自身もおそらく含まれているだろうから、大雑把な読み方だけでなく、書き手の細かい文章のあちこちに「偽善だよね、多分」「でもこれだけは書いておかないと」という一種の「矜持」も感じ取れるようになっている。ま、ネーミングは確かにややださださなのではあるが、そうしたマイナス面を考慮してもプラスに作用する「仕掛け」が非常に多い文庫本だ。
週刊「エコノミスト」の巻頭言のころから注目していた著者だが、最近さらに日垣隆さんの書いたものに興味深々となっている。この「偽善系」では、少年法や裁判所の在り方、種々の「迷著」、ある経済評論家に対する批判、そして長野オリンピックなどを取り扱っているのだが、ある意味ではバラバラなテーマの素材をうまく配列して面白い本にしたな、という点が興味深い。
もともと各種メディアに時期も含めて別々に書かれた原稿なので、1つの書籍にするのはけっこう難しい。ま、「偽善系」という一種曖昧なくくりで本になっているが、一番苦心したのは題材の配列だろう。この文庫本ではさらに2冊の単行本を1冊にしているので、単純に構成したのでは、読者には記憶に残らない雑文集にもなりかねない。それを1つの統一的な視点でまとめると「こうなる」という編集の技がさえている。
経済評論家の取材方法や論理構成を批判したあとに長野オリンピックの批判が展開されているのだが、これなぞ「他山の石」をもって自分の取材と論理構成で完全な批判とする、というグーの音もでない構成。辛口批判だけなら確かに取材力がなくてもできなくはないが、では肝心の批判する自分の取材ならばこういう形になる、という究極の展開・構成。で、おそらく「偽善系」という批判は題材として扱った各種の人物や団体、制度と同様に著者自身もおそらく含まれているだろうから、大雑把な読み方だけでなく、書き手の細かい文章のあちこちに「偽善だよね、多分」「でもこれだけは書いておかないと」という一種の「矜持」も感じ取れるようになっている。ま、ネーミングは確かにややださださなのではあるが、そうしたマイナス面を考慮してもプラスに作用する「仕掛け」が非常に多い文庫本だ。
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