2012年8月20日月曜日

中原の虹 第4巻(講談社)

著者:浅田次郎 出版社:講談社 発行年:2010年(文庫本) 本体価格:695円
 最後まで読んでなんと袁世凱が中華帝国を立国して失敗…というあたりで第4巻終了…。え?え?。この中途半端な感じはやや肩透かし。中原にのぞもうとする張作霖はいまだ日本帝国との関わりが一将校としかなく、日本に亡命していた変法派の学者も復権して活動を始めるにはいたっていない。これはシリーズ続編の「マンチュリアン・レポート」で…ということかもしれないのだが。
 歴史上の人物があまりに登場しすぎてだれがだれの背後にいるのかいないのかも判然としない状態へ。ま、こういう混乱状態もまた悪くはないのだが、第4巻ラスト間際に時間軸の進行度合いがあまりに早すぎてついていけない部分も。ヒーローが「ロード・オブ・ザ・リング」のようにどこかに出かけて、そこで何らかの力を得て、再び帰還してくる…という役回りならば、中国から日本い亡命した元進士で日本で大学教授をつとめていたという「蒼穹の昴」の主人公が実は最後でまた「ヒーロー」候補として再登場した、という仕掛けなのかも。ただまあ続編まで読み進めるかどうかは、読者の「根性」による。

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