2011年12月29日木曜日

聖の青春(講談社)

著者:大崎善生 出版社:講談社 発行年:2000年 本体価格:695円
 幼少のころにネフローゼをわずらい、腎臓病をかかえた村山聖。その後将棋にめざめ、ベッドの上で生活しながら将棋をさし、奨励会に入会する。将棋を知っている人には周知の事実だが、この奨励会に入会するだけでも大変なことで、現在は制度改革もあるとは思うが、さらに年齢によって選別がおこなわれる。師匠となった森は食事を村山とともにしながら、自転車の練習などもともにおこない、さらには弟子の下着も洗って将棋の道を教える。その師匠と弟子の関係がなんともいい。そして登場する谷川浩司と羽生善生。勝負にこだわりさらには名人の座も視野にいれる途中で村山は最高級A級に在籍しながら膀胱癌の宣告を受ける…。手術の傷口と尿の排出口を手でおさえながらの対局などは涙なしには読み進めることができない。短く、さらにはかなり個性的な人生を生きて死んだ天才の人生がある。定期預金の通帳と印鑑をまるごと他人に預けたりといった濃密な人間関係もまた魅力的。

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