2011年12月3日土曜日

芸のためなら亭主も泣かす(文藝春秋)

著者:中村うさぎ 出版社:文藝春秋 発行年:2008年 本体価格:495円
 どこまでも「実践」してしまう中村うさぎさん。遅れて読み始めたが、ブランド物への浪費やらホストクラブ通いやら…と家計は火の車のご様子。でもってダンナハンはゲイで…。不思議と嫌悪感もなく、むしろ「いけいけ」と応援している自分はたぶん多数派ではないかと思う。特に興味がひかれたのは中村うさぎさん御用達のアイランドタワークリニックにておこなわれているという植毛手術の描写。QHRシステムとよばれる植毛手術は後頭部の毛根を薄くなった額のところに1本1本田植えのように植毛していき、中村さんの知人は約2000本の毛根を植毛した。その様子が126ページから描写されているのだが、整形手術については賛否両論あるが、男性だって確かに植毛したい。いや私だってまだまだ髪はあるが、うすくなればやはり植毛したい。で、この植毛手術から導き出される著者の「哲学」は、恋愛と結婚は別で、結婚はずっと一緒に暮らす相手とだから性格や相性など内面的なもので選ぶ。であるからして外見至上主義は一瞬隆盛をきわめてもそれほど盛り上がることはないという妥当な結論で…。反省することはあっても後悔するようなことはしたくないと主張する著者。ちょっと真似はできないが、その志がしっかり伝わってくる名エッセイ。

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