2010年11月30日火曜日

パクス・ロマーナ 上巻(第14巻)(新潮社)

著者:塩野七生 出版社:新潮社 発行年:2004年(文庫版) 本体価格:400円
最近の書店では文庫本でも「売れない」となると1ヶ月ほどで棚が入れ替わる。海外からかなり苦労して翻訳されたと思しき大作であってもあまり固定読者がつかない本だとこれもすぐ返品らしい。この「ローマ人の物語」は1994年ごろから単行本で発刊され、その後文庫化されたシリーズだが、驚くべきことに近くの書店にはすべての巻がほとんど揃っている。つまり単行本の読者以外にさらに文庫化で新しい読者がついているということになる。どこにでもある、ということでどこでも買える。したがって同じシリーズではあるがすでに異なる3つの書店で気が向いたときにこの「ローマ人の物語」シリーズを買い求めて読んでいる。
そして時代は天才カエサルの時代からオクタヴィアヌスの時代へと移る。共和制政治の形をとりつつ帝政へ移行。カエサルとは異なる視点でのガリア地区の再編成、司法権も皇帝に集中させ、皇帝財務官制度を導入して税制度を確立させる。軍事費や道路工事などのインフラ整備、カエサルが途中で暗殺されていたため中断していた通貨制度の改革、そして選挙改革。天才カエサルがまず作り上げた土台の上に「国家」という家の骨組みを着実に積み上げていく様子がこの上巻ではつづられる。

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