2010年11月23日火曜日

クーデター(角川書店)

著者:楡周平 出版社:角川書店(宝島社) 出版年:2008年(角川書店文庫版) 本体価格:781円
「Cの福音」に続く合計6部作の2作目にあたる作品。東南アジアの外交問題と宗教問題を題材にし、航行不能になったアメリカ原子力潜水艦と能登半島に上陸した謎のテロリスト、そしてその陰謀を阻止しようとするジャーナリスト川瀬雅彦。普通の日常をおくっていた人々のなかに突如現れる重火器攻撃の連続…。タイトルは「クーデター」となっているが、実際にはタイトルから予想されるような展開ではなく、むしろ個人の内面が「大転換」していく心理面が興味深い。
「Cの福音」ではブラウン大学を卒業後マフィアのもとでコカインの輸入にたずさわる朝倉恭介が主人公で、この「クーデター」ではアフガニスタン内戦をきっかけに大手新聞社の国際部記者から報道カメラマンに転進した川瀬雅彦。組織に属さず、それぞれが信頼する個別の人間関係をもとに二人の活躍は別々に第5作まで続き、そして第6作「朝倉恭介」で初めて対決することになる。

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