2010年11月27日土曜日

ユリウス・カエサル ルビコン以前 下巻(第10巻)(新潮社)

著者:塩野七生 出版社:新潮社 発行年:2004年(文庫版) 本体価格:438円
紀元前60年から紀元前49年(カエサル40歳~50歳)の10年を描写する。この本ではガリア地方を縦横無尽にかけめぐるカエサルの姿が地図とともに示される。そのさなか三頭政治を一端を担うクラッススがパルティア王国のスレナスと戦い、全滅。またガリア民族もヴェルチンジェトリックスという優秀なリーダーが統率した反乱が起きる。そしてガリア戦記の事実上のラストをかざるアレシア攻防戦が描かれる。カエサルが配備した独特の防御柵が文庫本126・127ページに示されているが、機械装置や技術、土木工事といったインフラを重視した紀元前のリーダーの先見性が示されている。いっぽう元老院重視の議員たちはポンペイウスの取り込みに成功し、アレシア攻防戦で事実上ガリアを制定したカエサルは護民官にアントニウスを送り込む…。ラストはカエサルとこれまで戦いをともにしてきた副官ラビエヌスに著者は光をあてる。「ガリア戦記」ではあまり触れられていない副将だが、カエサルの背後を常に守り続けてきたベテランの軍人だったが、ポンペイウスにつくのかカエサルにつくのか、その最終決定をこの第10巻で示す。

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