2010年11月20日土曜日

再生巨流(新潮社)

著者:楡周平 出版社:新潮社 発行年:2007年 本体価格:743円
楡周平の作品は物流がからむと格段に面白くなる。この小説では、スパイも武器もでてこず、やり手の営業部次長が左遷された部署で、文具通販の新しいビジネスモデルを思いつき、周囲をまきこんで一つのプロジェクトにまとめていくプロセスが描写されている。実際にビジネスをたちあげていくときというのは、荷物の集荷や仕訳といった細かなところまで目配せをして具体的な形にまとめていくものだろう。架空の経済小説とはいえ小口配送主体の運送会社がいかにして新規ビジネスに取り組んでいくのかが緻密に描写されていて面白い。高い付加価値をもつサービスとはいっても単に丁寧にモノを運ぶとかそうした「気合」だけではニーズに対応できるわけがない。そこからさらに「仕組み」にまでアイデアをもっていく過程と人間模様が実に興味深い。

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