2010年11月28日日曜日

ユリウス・カエサル ルビコン以後 中巻(新潮社)

著者:塩野七生 出版社:新潮社 発行年:2006年(文庫版) 本体価格:400円
多民族・多言語・多宗教の「帝国」を作り上げたカエサル。ポリスを超えたコスモポリスをさらに作り上げていこうとする。ポントス王国との戦いでは「来た、見た、勝った」の名言を残す。留守のローマをアントニウスが内政担当するが、ベテラン兵士のコントロールに失敗。軍人としては有能だったアントニウスだが政治面での不安要素を残す。最後のポンペイウス派が北アフリカに渡ったのを追撃。スキピオ、小カトーなどのローマ人軍団とヌミディア王国との連合軍との戦いが始まる。勝利をおさめたカエサルはサルディーニャ島とコルシカ島を視察してから、凱旋式へ、そして暦の改訂(太陰暦から太陽暦へ)、国立造幣所の創設、シチリアへの選挙権を持たないラテン市民権の授与、ガリア人などを元老院議員として認め元老院の定数増加、利子率のコントロール、解放奴隷の登用、福祉政策、失業政策、首都再開発といった内政面でのインフラを進めていく。「寛容」をテーマにした一連の施策は、終身独裁官への就任によりほぼ地盤は固まりつつあった。

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