2010年11月28日日曜日

ユリウス・カエサル スビコン以後 下巻(新潮社)

著者:塩野七生 出版社:新潮社 発行年:2004年(文庫版) 本体価格:483円(文庫版)
カエサルが暗殺される3月15日の描写と分析が主体となる。マルクス・ブルータス、カシウス・ロンジヌス、ガイウス・トレボニスそしてデキムス・ブルータスといったカエサルに重用されていた人物らによって暗殺が行われる。「人間ならば誰にでもすべてがみえるわけではない。多くの人は自分が見たいと欲する現実しか見ていない」というカエサルの言葉のごとく暗殺は単にローマ帝国の変化を10数年遅らせるにすぎなかったと分析される。この段階で元老院主体の寡頭制の「共和制」に戻るか、独裁官中心の帝国運営に進むのかといった選択肢がないわけではなかった。が、カエサルなきあとは、オクタヴィアヌスによる巧妙な帝国運営まで時間が空白となる。過渡的にオクタヴィアヌス、アントニウス、レピドゥスの第二次三頭政治をへてクレオパトラを代表都市アントニウスを軍司令官とするエジプト王国とローマ帝国の戦いはあったが…。時代はその後軍事を担当するアグリッパ、文化・外交面を担当するマエケナスを従えたアクタヴィアヌスを中心に展開していくことになる。

0 件のコメント: