2012年3月11日日曜日

ベーシック金融入門第7版(日本経済新聞出版社)

著者:日本経済新聞社編 出版社:日本経済新聞出版社 発行年:2011年 本体価格:1000円
 定番のベーシック入門シリーズ。228ページの小さな本だが日本の金融をめぐる代表的なトピックはほぼ網羅されており、流動性の罠や通貨発行益(シニョレッジ)など金融論のテーマもおさらいできる。IS-LM曲線などはでてこず文章による説明がメインというのも好ましい。1980年代と21世紀の現在を比較してみると、規制行政から自由裁量になった金融業界の激変ぶりには目をみはる。高度経済成長期には金融システムの安定は不可欠だったと思うが、インターネットがこれだけ発達して流通業界も生まれ変わろうとしている現在、当局の指導による金融サービスから、自由裁量の金融システムに生まれ変わったタイミングとしては、まずまずだったのではなかろうか。個人的にはまだネット銀行や流通系の銀行を利用したことはないが、決済業務に特化した銀行というのもかなり便利であることはわかる。そしてそういう発想はやはり既存の銀行からは出てこなかっただろう。今後どうなるのか…というと、おそらく今すでにでている業態の銀行ではなく、思いもつかない業態(たとえば総合商社とか通信業界とか)から別の形態の銀行が生まれてくるような予感。2時間もあれば読める本だが、内容は最新で、図版なども多いので使い勝手がよい。索引が4ページ分付属。

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