2012年3月20日火曜日

アホ大学のバカ学生(光文社)

著者:石渡嶺司 山内太地 出版社:光文社 発行年:2012年 本体価格:820円
 日本語では一般に重要なことがら後ろにくる。ということでタイトルだけからすると「バカ学生」に重点が置かれているように見えるが、実際には「アホ大学の」という限定条件がある。つまり「アホ大学」でない「バカ学生」については論じていないことになる。で、その「アホ大学」というのは端的に要約するとマーケティングができていない「頭でっかち」の大学ということになりそうだ。単に偏差値が高いとか低いとかいうことではない。マスコミを活用するのではなく「避ける」という体質では広報の役割を果たしていないし、入学させた学生が加減乗除ができないのであれば、もう一度加減乗除からやり直すのがむしろ求められている教育なのにそれをしない、というような大学が「アホ大学」ということになる。ちょっと唖然とするような教育機関もないわけではないが、こういう大学の「設立」を認可した監督省庁も監督省庁で、理念がいくら立派でも現実妥当性がない理念は「空想」であるという認識が足らなかったようだ。経営難に陥る大学が続出しているというのは、安易な設立認可を乱発しすぎたせいではないか、と思う。とまれ、そうしたFランであっても「キャンプ」を通じてマナーを教える大学や、少人数教育で実績を上げた秋田県の大学などの例も挙げられている。努力と工夫で入学希望者数を増加させ、就職実績もあげている国際教養大学や武庫川女子大学といった教育機関は「頭脳」を駆使して努力を積み重ねた教育機関といえるだろう。教育機関であってもマーケティングやQCが必要な時代となっている。経済学部が設置されているのであれば、もう少し営利主義のメリットを教育機関に取り込んでもいい時代になっていると思うのだが。

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