2012年3月9日金曜日

プラチナデータ(幻冬舎)

著者:東の圭吾 出版社:幻冬舎 発行年:2010年 本体価格:1600円
 二宮和也主演で映画化されるこの作品。日本人の遺伝子は登録制となり、犯行現場に残された遺留品のDNAさえたぐれれば、有力な容疑者逮捕に結びつけられる時代を迎えた。だがそうしたDNAデータシステムには、ひとつの大きな欠陥があった…。うんうん。情報コントロール社会とそれに反発するアナログな捜査官という設定、いいなあ。主人公が全国の警察から追われる身の上になるあたりはヒチコックとか、「ゴールデンスランバー」を思わせる。こういう逃亡劇は非常に面白い。で、ラストはだいたい予想がつく終わり方ではあるのだが、これはこれで予定調和的で、しかもカタルシスもあってよい。映画化されたときの配役も原作を読むとだいたい想像がつく。だからこそ、ではないのだけれど、「エンディング」や逃亡シーンには、物語をただ追うのではなく、なんでもない日本の風景をあらためてこの風景が情報コントロールされたら…という新しい視点でみつめなおせるようなタンタンとした映像を期待したい。
 ただこの小説読んでるだけではDNAがデータ管理されたら、それがとてつもなく怖いこと、とは思わなかった。監視カメラだって今や必要悪な面、ある。DNAのデータベースだって、運用次第ではそれほど悪い結果をうむとはちょっと考えられない。データベースが悪いのではなくて、データの解釈を間違ったら…ていうのなら、理解できなくもないのだけれど。

0 件のコメント: